理屈は理解できるが、例えば原油価格が上昇したり、人件費が高騰したりした場合に強い立場の買い手が「価格改定には応じない」というのと、何が違うのであろうか。

 もしも、大企業が優越的地位を乱用して中小の売り手を搾取しているのであれば、独占禁止法などで取り締まればいいのであって、無理矢理、消費税を転嫁させる必要はない。

「消費税還元セール」も禁止されている。消費者に「税は負担しなくていい」といった誤解をさせないようにするのが趣旨だ。しかし、消費者に“痛税感”を意識させ、消費を抑制することが政府にとって望ましいわけでもないのだから、むしろ税負担を感じさせないようにすべきではないだろうか。

「内税方式」に統一し
消費税の転嫁を自由にしては

 消費税は、「売り手が売上総額の一定割合を納税」すればいいのであって、その分を消費者に転嫁しようとしまいと、あるいは便乗値上げをしようとしまいと、本来それは売り手の自由にすべきだ。

 例えば、消費税前の駆け込み需要が殺到しているときに、半年早く消費税を転嫁しようという売り手がいてもいいだろう。あるいは、消費税増税から半年程度経過して、駆け込み需要の反動減が和らいでから転嫁しようという売り手がいてもいい。

 ただ、そのためには消費税の「内税化」が必要だ。消費税率8%の売り手と、10%の売り手がいれば、顧客の多くは前者から購入するからだ。税込みの価格が異なれば当然だが、仮に税込みの価格が同額であっても、消費者心理としては前者から購入する人が多いだろう。

 そのため、消費税は「内税方式」に統一すべきだ。そうすれば消費者は「税込み価格」だけを見て買い物をすることになり、どの売り手が転嫁したのか分からなくなる。加えて、消費者が買い物をするたびに感じる痛税感が緩くなり、消費にも好影響なはずだ。