GEはソフトバンクやNECと提携して、製造業を含むあらゆる業界にPredixを売り込んだが、もともとGEの製品を使っているわけではない業界への販売はさらに困難だった。「Predixを売るためのマニュアルさえGEは用意しておらず、準備不足だった」(提携した日系企業幹部)。

 計画通りにソリューションビジネスが進まないところに、主力の発電機器の低迷が直撃した。脱化石燃料の逆風で、火力発電所の建設プロジェクトに資金が集まりにくい状況になったのだ。

 さらに、縮小したものの一部残っていた金融部門における費用発生が追い打ちをかけた。保険事業が62億ドルの損失を出し、17年度は58億ドルの最終赤字に沈んだ。

 結果、本業でどれだけキャッシュを稼いだかを示す営業キャッシュフローは大幅に悪化。営業キャッシュフローは、金融部門を担うGEキャピタルからの振れ幅の大きい配当金に依存する構造が続いている(図2)。

 株価下落は止まらず、10月1日にジョン・フラナリー前CEOが就任1年で更迭され、GE史上初めて社外出身のローレンス・カルプ氏がトップに就任した。

 米医療機器メーカー、ダナハーを成長させたカルプ氏のCEO就任を株式市場は一時的には歓迎したが、同時に発表されたのれん代償却の規模に騒然とした。

 のれん代はM&Aを実施した際の買収額と買収された企業の評価額との差だ。GEが今回、減損処理するのは電力部門の230億ドルののれん代の大部分。15年に買収した仏重電大手、アルストムのエネルギー部門ののれん代を含む。

 アルストムの買収交渉は先に名乗りを上げたGEに対抗して三菱重工業とシーメンスの日独連合が参戦し、争奪戦の様相を呈した。日独連合の企業幹部は「いま思えば買収し損じてよかった」と胸を撫で下ろしつつ、「われわれの参戦で買収価格がつり上がったのが響いたかな」と声を潜める。

 GE全体ののれん代は実に840億ドルに上り、日系企業で最大ののれん代を抱えるソフトバンクグループの2倍超だ。GEが近年ソフトウエア会社を立て続けに買収してきたことを踏まえれば、次なる減損に市場が身構えるのも無理はない。