「ここまで短期間にエンジントラブルが重なるとは。全日本空輸(ANA)にとっても予想外の事態だ」
ANA幹部はため息をつくが、それも当然だ。ANAは今、国内線を飛ぶボーイング787(B787)型機で大量の欠航を出している。その数、7月上旬~8月で合計997便。冬ダイヤの予約制限も検討しており、この「隠れ欠航」を含めれば影響は軽く1000便を超えることになりそうだ。
原因は英ロールス・ロイス(RR)製のエンジントラブルにある。ANAは国土交通省などから出された技術指示に基づいて点検や部品交換を進めているものの、B787は言わずと知れたグローバル商品だ。点検が必要となったエンジン数は全世界で約600台に上り、部品の供給が逼迫して欠航を出さざるを得なくなった。
そもそも、航空機のエンジンはエアラインが選定するものだ。B787に搭載できるエンジンは米ゼネラル・エレクトリック(GE)製とRR製の2種類。主流は選定済みの機体で63.4%のシェアを握るGE製なのだが、ANAはRR製の方を選んだ。