この民意に応えるために、玉城知事は早速動き始めている。就任直後に上京し、安倍首相や菅義偉官房長官と面談した。だが、辺野古移転の見直しについて、安倍首相は全く応じなかった。知事は普天間基地の危険性除去の早期実現のため、首相が翁長雄志前沖縄県知事に約束した「2019年2月までの運用停止」の実現や、「日米地位協定の改定」を求めるために、政府、米軍、沖縄県の三者協議の設置も要求した。だが、いずれも首相から明確な返答を得られなかった。

 安倍首相は玉城知事の要求に「ゼロ回答」で応じただけではなく、沖縄に対して法的対抗措置を講じた。翁長前知事が死の直前に決めた、辺野古での新基地建設を巡る「埋め立て承認撤回」に対して、政府は行政不服審査法に基づき、国土交通相に撤回の取り消しを求める審査請求を行うとともに、撤回の効力を一時的に停止する執行停止の申し立てを行ったのだ。新しい沖縄県知事が登場しても、政府と沖縄の対立は深まるばかりである。

普天間基地移設問題は
国会議員が解決すべき問題だ

 沖縄県知事の権限は大きく、 政府に頼らなくても辺野古の埋め立ては止めることはできる。しかし、埋め立てを止められても、それだけでこの問題は終わらないことが重要だ。辺野古へ移転できなかったら、「世界で最も危険」といわれてきた普天間基地がそのまま残ることになるからだ。

 つまり、普天間基地の辺野古移設に反対するのなら、辺野古の代わりに移設する場所を見つけなければならない。そして、沖縄県内に新しい基地を作りたくないのが沖縄の「民意」ならば、県外に基地の受け入れ先を見つけるか、海外に移ってもらうしかない。それは、他の自治体や米国と交渉が必要となり、沖縄県知事一人ではできない。国会議員が前面に出て、解決に動かねばならない仕事である。

 しかし、「普天間基地の代替は辺野古しかない」と結論を出している自民党議員は、動く気はない。一方、野党が辺野古移転に反対する玉城氏を支持するならば、知事が辺野古への移転を止めた後をどうするか、責任を持って考えて、県民に訴える責任があったはずだ。ところが、沖縄県知事選で応援に現れた野党の幹部は、どうだっただろうか?