超高齢化社会を迎え、ますます注目を集める遺言。いま、遺言や相続で悩んでいる人が増えている。人それぞれ、いろいろな問題を抱えているが、AIなどのテクノロジーの進展で、遺言はこれからどう変わっていくのか。ユニークな遺言の書き方を提唱する『90分で遺言書』の著者・塩原匡浩氏が、遺言の未来を語る。
マイナンバーと遺言書の法務局保管制度で
財産の管理は簡単になる
最近のAIに関する情報には目を見張るものがあります。テレビやインターネットで、AIという単語を見ない日はありません。それだけ、これからの世の中に、そしてわれわれの生活に深くかかわってくるものなのでしょう。
AIが将来的にどんな影響をもたらすのか――、私の専門である「遺言」について、その未来を予測してみたいと思います。
まず、遺言がどのような構造になっているのかを見てみましょう。
遺言は「本文」と「付言」から成り立っています。
「本文」とは、主に財産や権利関係について記載するもので、法的効力がある部分です。第1条から始まる条文形式で構成されます。
近い将来には、マイナンバー制度や2020年開始の自筆証書遺言法務局保管制度等によって、財産の全体像がほぼ把握されるようになるでしょう。そうなれば、遺言作成時に記載する財産は、一覧表として瞬時に網羅され、あとは、どの財産を誰に相続させるのかを決めるだけになってくることでしょう。