個人型の制度を提供する金融機関が、不適切な商品を多数ラインナップするのも同様の下心があるからだ。

 しかし、運用商品の数が増えるとそれだけ教育や情報提供が大変になるし、教育自体が不可能な商品もある。例えば、相対的にいいアクティブファンドを「事後的に」ではなく、「事前に」選ぶ方法などそもそも確立されていないのだから、十分な教育ができるはずはないにもかかわらず、手数料の高いアクティブファンドをラインナップしておくことは不適切だ。

 企業型確定拠出年金を導入している企業は、加入者である社員に対して、制度を導入した金融グループと利害関係のない独立したアドバイザーによる運用方法と、運用商品選択に関する教育、そして情報提供をぜひ行うべきだ。

 社員の利益を犠牲にして、金融機関に余計に稼がせることは、長期的に見ると企業の人件費の有効活用を損なうし、もちろん社員にとっての厚生も低下する。

 個人型の確定拠出年金にあっても、心ある金融機関は顧客に適切な情報を提供すべきだし、商品ラインナップを整理・改善する方策を考えるべきだろう。

その3 特別法人税を決着させよ

 確定拠出年金の利用者にとって、「まさか、ないだろう…」とは思うものの、不安な材料として、現在2020年3月末まで課税が凍結中の年金積立金に課税される特別法人税1.173%(国税1%+地方税0.173%)が復活する可能性がある。

 特別法人税は1999年度から凍結され、これまで数度にわたって凍結が延長されてきたが、これが復活すると、確定拠出年金が原則として60歳になるまで資産を引き出せない制度であるため、加入者にとっては「逃げ場がない」状況となって、積み立てた資産に対して高率の税金が課されることになる。

 金融業界及び確定拠出年金の関係者は、「行政は、まさかそのようなひどいことをするまい」とほぼ一致して思い込むことによって、その可能性の実現を考えないことにしようとしているように見えるが、「嫌な不確実性」は消えたわけではない。

 確定拠出年金に加入するかしないかは、将来にかかわる意思決定なので、制度的な不確実性はできるだけ除去することが望ましい。

 一方、確定拠出年金は、拠出時に所得控除が適応され、運用期間中に運用益に非課税で、受け取り時にも退職所得控除や年金等控除の対象になり税制上の優遇を受ける税制上非常に有利な制度だ。