タワマン節税で国税局が絶対に許さない「NG行為」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

相続税対策として富裕層に人気だったタワマン(タワーマンション)節税。しかし富裕層の相続税逃れを防ぐべく、2024年に税制改正が行われた。課税逃れが起きないように鋭い調査を続ける国税当局が「一発アウト」にする「NG行為」とは?(ライター 岩田いく実)

富裕層に人気だったタワマン節税
そのカラクリとは

 相続税対策として富裕層に人気だったタワマン(タワーマンション)節税。

 なぜタワマンの相続が節税に有効だったかと言えば、不動産は市場価格に比べて相続税評価額を低く抑えることができたためです。

 たとえば300戸建てのタワマンの場合、一戸あたりの評価額はタワマン全体の評価額をシンプルに300戸で割って算出していました。市場価格では低層階より高層階のほうが高く評価されるため、高層階を購入し、相続税は市場価格よりも低く抑えることで節税効果を生んだのです。

 しかし、2022年の最高裁判決により、その効果が大きく揺らいだことはご存じでしょうか(最高裁判所第三小法廷 令和4年4月19日判決 令和2年(行ヒ)第283号)。

 この判決ではタワマンの路線価評価額が実勢価格と比べ極端に乖離(かいり)しており、相続税の負担の公平を著しく害するとして、「著しく不適当」にあたると判断され、高額の追徴課税を受けました。

 では、この判決後のタワマン節税の現状はどうなっているのでしょうか。本記事では相続の新常識である「タワマン節税」の最前線とゆくえについて、クロスウィード税理士事務所代表の大岡俊明税理士にも話を聞き、詳しく解説します。

揺らいだ「タワマン節税」
「2.4億円の追徴課税」の理由とは

 2022年4月19日、最高裁はタワマン節税を巡る裁判で、納税者側の敗訴を確定しました。この裁判は、90歳の被相続人が多額の借入を原資にタワマンを購入し、相続税評価額を大きく圧縮することで、約6億円の課税価格を2800万円(基礎控除により相続税0円)にしたスキームの是非が争われたものです。