BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)の大手企業ジェンパクトは、GEグループの間接業務を処理する会社として、1997年に創業された。もともとはインドのGEキャピタルの1部門であったが、インドの人材の豊富さや間接業務の処理というビジネスの可能性に気づいた創業者のプラモッド・バシンが、インドのグルガオンにオペレーション・センターを開いたのである。

社員の採用と教育、サービスの品質管理という難題に取り組み続けたジェンパクトは急成長を遂げ、その顧客基盤はGEグループだけでなく、世界の各企業へと広がっていった。2007年にはニューヨーク証券取引所に上場している。

2011年6月現在、13カ国39拠点を抱え、400社にサービスを提供し、全世界で4万3000人を雇用している。なお、日本では2011年7月、日産自動車の子会社、日産ヒューマン・インフォメーション・サービスの経営権を取得し、かつジェンパクト・ジャパン・サービスと改称し、日本での事業を拡大している。

「間接業務を請け負う会社」というアイデア

 1990年代の終わり頃、数カ月にわたって、ライバルをはじめとするさまざまな企業から、インドのGEキャピタルのオフィスを訪問したいという電話がひっきりなしにかかってきた。

プラモッド・バシン
Pramod Bhasin
BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)の大手企業、ジェンパクトの創業者。2011年6月まで社長兼CEOを務めていたが、現在は副会長。

 ライバルに自社を案内するというのは、たいていの執行役員の責任範囲には入っていない。実際、そんなことはけっして行われない。しかし、私は同意した。なぜなら、スタンダードチャータード銀行、バンク・オブ・アメリカ、アクセンチュアといった企業からのリクエストは、何か信じられないようことが起ころうとしている兆しだと考えたからである。

図表「ジェンパクト:分離独立後の6年間」
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 そして、まさしくその通りになった。現在、私が興したジェンパクトは、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)企業として、全世界で4万3000人を雇用している。間接的には、我々をサポートしている企業で働く、さらに100万人の雇用にも貢献している。また、13カ国39拠点を抱え、400社にサービスを提供している。2005年、親会社のGEキャピタルから分離独立し、いまや売上高12億6000万ドルの上場企業である(図表「ジェンパクト:分離独立後の6年間」を参照)。

 しかし13年前には、GEキャピタルの小さな1部門にすぎなかった。インドのGEキャピタルの責任者だった私は、事業を成長させる方法をあれこれ模索していた。