世界で著書累計100万部の猫を愛する専門家が、猫から日々教えられている生きる知恵を綴った『猫はあきらめ時を知っている』の日本語版が刊行された。
お気に入りの隠れ家を持ち、高価な物より段ボール箱を愛し、美味しくない食事は遠慮なく残し、どうやらこっそり人間をしつけているらしい……そんな猫が、常に周りの目を気にして生きる人間たちに、もっとラクに生きるコツを伝える一冊から一部抜粋して紹介しつつ、無類の愛猫家の翻訳者・吉田裕美氏が猫への思いを綴る。
猫にありがちな日常の仕草には、どんな偉人の名言にも勝る、深い人生哲学が込められている!(以下、執筆/吉田裕美)

保護猫は、なぜかキュウリが大好物。今は幸せに暮らす猫の、何ともせつないその理由

野菜を食べよう

猫は庭の草を定期的に好んで食べる。
もちろん、アスパラガスや少量のブロッコリーも大好き。

ただし、
完全に菜食主義にかたよった食事は
よくないので控えよう。

(セリア・ハドン著 平田光美訳『猫はあきらめ時を知っている』より)

 猫は基本的に肉食動物である。

 昔は日本の猫といえばかつお節がごちそうで、ご飯にかつお節で出汁をとった味噌汁をかけたものが「猫まんま」と呼ばれるとおり猫の定番食だったらしい。
 また、サザエさんの歌にもあるように、魚をくわえて逃げる猫を「ドラ猫」と呼んでいた。

 私の母が子どもの頃、味噌汁がないときにご飯の上にかつお節をかけると、猫がかつお節だけペロッと食べてご飯を残してしまうので、かつお節をご飯の中に埋めてみたそうだ。
 すると、鼻がいい猫にはかつお節の匂いがわかるだろうから、上から食べていけば大好きななかつお節に行き当たるというしくみだ。焼肉丼が焼肉おにぎりになったらコスト削減でも満足感はあまりかわらないのと同じように、画期的なアイディアだった(と思う)。

 しかし、猫はクンクンと時間をかけてエサ入れご飯の匂いを嗅ぐと、おもむろに前足でご飯を掘って、かつお節だけを器用に食べてしまった……。

 ところで、そんな肉食猫の習性に異を唱える人もいる。