いち早く3軍を作り
チーム内競争を活性化

 ソフトバンクはMLBのようなチーム強化を志向していることがうかがえる。MLBの球団はメジャーを頂点にマイナーリーグの3A、2A、1A、ルーキーリーグなどクラス分けされたリーグに数多くのチームを持つ。各々の球団に選手育成・強化のためのピラミッドが形成されているわけだ。1球団に所属する選手は250人から300人。選手は実力別にそれらのリーグに振り分けられ、メジャー昇格を目指して激しい競争をしている。

 日本球界にはそうしたピラミッド構造がないため同様の強化はできないが、それでもより多くの選手が在籍することで競争は激しくなる。その受け皿として3軍をいち早く作り(2011年)、独立リーグや社会人、大学などのチームと数多くの試合を組むようにもした。実戦経験を積ませ、競争によって選手が向上する環境をソフトバンクは作ったわけだ。

 その中から成長が認められ支配下登録される選手が生れれば、ドラフト指名で入団し2軍で鍛えられている選手もうかうかできない。さらに千賀や甲斐のような才能が現れれば、1軍のレギュラークラスだって競争に負けないよう必死になる。また、育成出身の選手が1軍で活躍する姿は多くの育成ドラフトの選手を勇気づけ、オレも続くぞ、と頑張るだろう。競争が競争を生む環境なのだ。

 今季パ・リーグのレギュラーシーズンでソフトバンクは西武の独走を許したが、故障者が続出したこともその要因としてあげられる。それでも2位になり、クライマックス・シリーズで西武を破り日本シリーズでは広島を退けた。ここ一番で強さを発揮する、そして4年間で3度も日本一になるのは、チームに地力があるからだ。その強さを支えているのは育成を含めて激しい競争を促す環境であり、それをどの球団よりも早くソフトバンクが作りあげたということだ。

 そんな球団運営ができるのは資金力があるソフトバンクだからだ、と思う人もいるだろう。他球団のトップにもそうぼやいている人はいるかもしれない。だが、ぼやいているだけではソフトバンクの常勝が続く。思い切った投資をし、しっかりと結果に結びつけるソフトバンクの方法論を素直に認め、学ぶことも重要ではないだろうか。

(スポーツライター 相沢光一)