その国で何年も暮らしているのに「外国人労働者」と言われ続け、体調を崩して働けなくなったりしたら、すぐに国から出てけと言われたらどうか。「差別」だと感じるのではないか。

 どちらが正しい、間違っているという話ではない。100年前、日本にやってきた朝鮮人労働者が感じた「差別」というものが、「従軍慰安婦」の問題や今回判決が出た徴用工の問題にもつながって、「負の遺産」になっているのは、動かしがたい事実なのだ。

「労働者」としか見ないのが
すべての悲劇の始まり

 ここまで言えば、もうお分かりだろう。今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」も「朝鮮人労働者」問題のリバイバルで、これから100年続く民族間の遺恨につながる可能性が極めて高いのだ。

隣の国との問題はあくまでレアケースで、他の外国人労働者と遺恨など生じるわけがない、と嘲笑する方も多いかもしれないが、既にブラック労働に辟易とした「技能実習生」が、日本嫌いになって帰国するなどの問題が起きている。また、「移民政策」だと批判された際の安倍首相の反論にも、その兆候が見て取れる。

「素行善良で独立した生計を営める資産または技能があるなど、厳しい条件が課される」

 要するに、誰かれ構わず入れるわけではなく、品行方正な労働者だけしか入れませんというのだ。

 素晴らしいじゃないかと思うかもしれないが、我々が受け入れるようとしているのは、血が通った人間である。入国した時は素行善良でも、1年経過すれば「差別」に不満を漏らす外国人になるかもしれない。技能や資産があっても、ブラック労働に耐えかねて仕事をボイコットするかもしれない。このように外国人を「労働者」としか見ないところがすべての悲劇の始まりだということを、首相は歴史から学ぶべきだ。

 2016年、SNSで一枚のFAXの画像が話題になった。

 技能実習生の雇用を企業に促すためのFAXで、「外国人技能実習生で人手不足を解消!! 労働力として全国で約15万人が活躍中!」という文言が大きく踊っていた。もちろん、何者かが何らかの意図を持って作成したビラである可能性もあるが、それを見て筆者が「いかにもありそう」と感じたのは、以下のような記述があったことだ。

「入国前には日本語やマナーを徹底教育しますので外国人技能実習生はオススメいたします」

「実習生は基本仕事を休みません! 途中で辞めません! マジメで素直です! 残業、休日出勤は喜んで仕事します!」

 ここに日本人が100年前から克服できない「病」の片鱗が見える。人手不足の炭鉱で朝鮮人を働かせた時代から、日本人にとって、外国人は低賃金で文句を言わずキビキビ働く、「労働者」であって、「人間」として見ていないのだ。