デンカ(旧電気化学工業)社長 山本 学Photo by Shinichi Yokoyama

中堅ながら、世界一の製品を複数持つ化学メーカーのデンカは、今期の連結売上高4100億円、営業利益360億円と、2期連続で過去最高を更新する見込みにある。近年は、2005年の本社移転まで90年続いたタコツボ化した組織にメスを入れ、業態の再設計を進める。さらに、周回遅れを認識した上で海外展開を加速させるなど全社構造改革に余念がない。過去10年続けて改革を牽引する山本社長が胸の内を明かした。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――今年で創業104年目となるデンカは、自前で15の水力発電所を持つなどユニークな業態で知られますが、10月中旬に「インフルエンザ診断用医療機器」を出しました。“迅速診断”とは何ですか。

 インフルエンザ(流行性感冒。急性感染症の一種)に罹っているかどうかを迅速に分析する診断機器(クイックナビリーダー)で、医師の目視による判定の個人差などをなくし、約5秒~1分で判定結果が出せる。消耗品の検査キット(ウイルス検査試薬)と併せて使います。全て、自動で行います。

 国内では、インフルエンザのワクチン(感染症の予防に用いる医薬品)の接種率は約40%で、先進国の間では低い。米国や韓国では50%を超えています。この分野では、私たちには技術とノウハウの蓄積があります。

――なぜ、化学メーカーのデンカがインフルエンザなのですか。