ただ、やはりこれまで認めてこなかった単純労働の分野を対象とした新たな在留資格を創設するというのは、将来的に受け入れる人数がこれまではと比べ物にならないくらい大きくなる可能性もあることを考えると、外国人受け入れの政策を移民政策と呼ぶならば、少なくとも移民政策の大転換であるのは間違いないのではないでしょうか。

 もちろん、安倍政権の支持母体が保守層であることを考えると、移民の受け入れを始めると明言してしまったら、それら支持層の反発を受けかねないので、認めたくない気持ちはわかりますが、結果としてその強弁が議論をわかりにくくしているのではないかと思います。

 個人的には、今回の政策の方向性は非常に正しいと思うだけに、正面から移民政策の大転換を認めて、与野党間やメディア上でもっと生産的な議論が深まるようにしてほしいと痛切に感じます。

わずか半年強で法案提出まで
漕ぎ着けたゆえの唐突さ

 次に、法案が突然出てきたという唐突さについて考えてみると、こちらの方がより深刻であることがよくわかります。外国人の単純労働者の受け入れについては、以下のような経緯を辿って今臨時国会に法案が提出する運びとなっています。

・2月20日 経済財政諮問会議で安倍首相が検討を指示

 ――これを受け、内閣官房と法務省を中心に“専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォース”を立ち上げ、新たな在留資格制度について検討を開始

・5月29日 タスクフォースの意見の取りまとめ

・6月9日 経済財政諮問会議で法務省が取りまとめ内容を報告

・6月15日 “骨太の方針”に単純労働に従事する外国人労働者を受け入れる政策を明示(2025年頃までに新たに50万人程度の外国人労働者を受け入れる目標も明示)