日本のピースボートだ。来年12月出航のクルーズ定期便を除いて、世界一周のクルーズ商品はすでに満席。一方、中国からは乗船枠を求める連絡がどんどん入ってくるという。

 大きなクルーズ船を入手してニーズに応えようと取り組んでいるが、中古船の調達がうまくいかず、心を鬼にして断り続けている。「中国市場への取り組みをもう少し早く本気でやっていれば、こんなもったいないことをせずに済んだのに」と幹部は地団駄を踏む。

日本に上陸した中国人が
船に戻らないケースが増えている

 一方、無視できない問題もある。クルーズ船で日本に上陸した中国人客が、船に戻らないケースが増えている。15年が21人、16年が36人、17年が79人と、わずか2年で約4倍になった。

 確かに、滞在期間は最長30日間なので、船に戻らないからといって、すぐに不法滞在とはいえないが、ビザ(査証)なしで入国審査を通過できる制度を悪用したことには変わりない。しかも、その後も戻ってこなければ不法滞在者となる恐れもある。この問題は無視できない。

 中国のクルーズ市場は大きく拡大している一方で、さまざまな課題も投げかけている。観光行政、そしてクルーズ業界も、一層力を入れて取り組むことが求められていると思う。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)