インバウンドという新たな産業の拡大が雇用創出に大きく貢献している。そうした雇用といえばサービス業が典型だが、とりわけ小売販売を通しての接客業の雇用が格段に広がった。
東京・銀座にある三越伊勢丹の化粧品売り場は、平日でも多くの客でにぎわっている。店頭にも多くのスタッフが配置され、接客に余念がない。だが、よく見ると名札に記載されているのは中華圏の姓だ。
百貨店の化粧品売り場だけではない。家電量販店、空港の免税店の店頭で目立つのは、中国人従業員の姿だ。外国人人材の採用に詳しいコンサルタントA氏は「人手不足の声はあちこちから聞こえる」といい、次のように続ける。
「サービス業によっては『賃金の安さ』『立ち仕事』が敬遠され、日本人だけでは埋めることができません。そのため、中国人を中心とした安価な労働力への依存が高まっています」
もちろん、それだけが理由ではない。圧倒的多数が中国人観光客となれば、「勝手知ったる人材」が重宝する。中国人人材の活用に積極的なインバウンド事業者B氏は、次のように語っている。