「経営陣は“ウルトラC”があるかのように言っているが強がりだろう」。業界内でこうささやかれていたが、残念ながら、その通りだった。
主力製品の特許が切れて業績が悪化する「パテントクリフ(特許の崖)」の中にある製薬大手、第一三共は2021年3月期までの5カ年の中期経営計画目標(売上高1兆1000億円、営業利益1650億円)の達成時期を2年後ろ倒しにすると発表した。併せて21年3月期の達成目標を売上高9600億円、営業利益800億円に下方修正すると明らかにした。
18年3月期決算会見で「収益を支える重要な施策を検討中」(眞鍋淳社長COO〈最高執行責任者〉)、19年3月期第1四半期決算カンファレンスコールで「第2四半期決算までにいろいろ検討」(齋寿明副社長CFO〈最高財務責任者〉)と、経営陣は含みを持たせる発言を繰り返していた。そのため、非コア事業である大衆薬子会社の売却など抜本策の着手かと注目が集まったが、ふたを開ければ中計目標を引き下げる安易な方策だった。
中計未達はもはや常態化している。三共と第一製薬が07年に完全統合して、現在進行中の中計が4期目。過去3回の中計はいずれも未達だ。特に第3期(14年3月期~16年3月期、当初は18年3月期まで)は、08年に買収したインドの後発品大手、ランバクシーを事実上売却するなどし、大幅に未達。大風呂敷を広げては頭を下げるパターンが繰り返されている。