週刊ダイヤモンド2018年11月17日号は「お得×旨い×テック 外食新格付け」です。今、外食産業はITやテクノロジーの浸透で環境が激変しています。そんな中で、キャッシュレス店舗などのイノベーションを積極的に仕掛けているのが「ロイヤルホスト」や「シズラー」などのファイミリーレストラン業態を展開するロイヤルホールディングス。本誌特集で掲載した同社の菊地唯夫会長兼CEOのインタビュー記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

人口減少でいよいよ限界を迎えた外食各社
生産性向上の手を打ち出してきた

きくち・ただお/1965年神奈川県生まれ。88年早稲田大学卒業、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。ドイツ証券を経て現ロイヤルホールディングス入社。2010年社長。16年より現職。日本フードサービス協会会長などを歴任 Photo Kazutoshi Sumitomo

 ──外食産業は、以前と比べてどのように変化していると感じていますか。

 食の産業化は1960年代ぐらいにスタートし、チェーン理論で多店舗化をしながら進んできました。規模を拡大すれば、効率という意味での生産性も上がっていった時代です。

 ただこれは、人口増加時代には効果があったのですが、今のように人口減少時代の中では、規模の生産性が利かなくなり、むしろ規模の不利益に変わっている。

──というと。

 生産性が上がるのは、供給制約がない、つまり働く人がたくさんいるという前提があるわけですね。今、お店を増やそうにも人が集まりません。

 それに、付加価値は希少性に対して感じるもので、付加価値と規模はそもそも相反します。

 要は、これまで規模を大きくすることで生産性を上げていたものが、人口減少社会で供給制約が起き、付加価値も訴求しづらくなっていることが本質的な課題です。

 人口減少は今後も続き、働きにくい産業からどんどん働き手が消えていきます。今、いよいよ限界を迎えた外食各社が、生産性向上の手を打ち出してきたというイメージです。