水面下で盛り上がる「冬アイス商戦」
人間とは、矛盾を抱えた生き物である。やってはならないと思うことをやってしまったり、その場ではそぐわないことに、あえてチャレンジしようと考えてしまったり。
むしろ矛盾が激しければ激しいほど、その甘い蜜の魅力に引き寄せられるごとく、人間はその行為に没頭してしまう。その最たる例が涼しい時季に食べる「冬アイス」である。
子どもの頃は、真夏の炎天下、駄菓子屋で買ったガリガリ君をかじるのが楽しみだったが、大人になってからは暖かい部屋の中でアイスを食べることに幸せを感じる。特に、こたつの中で食べるアイスは至福である。なんとも言えない背徳感を覚える。
マーケットも、そうした人々の欲求に気づき始めている。東京の大手デパートでは、この冬イチ押しのアイスを8000個も無料配布するキャンペーンを実施する。メーカー各社も冬にちなんだアイスのラインナップを軒並み揃える。たしかに「モンブラン」など、寒い時季にマッチするアイスには、ふと手に取りたくなる魅力がつまっている。
アイスが暑い時季のものだったのは今は昔、いまや水面下で「冬アイス商戦」が盛り上がっている。「冬アイス」は、すでに平成の世の「新常識」となっているのである。