作品やジャンルの一覧は、視聴履歴に基づき、ユーザーごとに異なるものが表示される。

 さらには、作品の“顔”となるサムネイル画像もユーザーごとに変えており、場合によっては20種類近く用意する。作品の象徴的なシーンのほか、ホラー映画を好む人には怖い画像を、出演している俳優が好きな人には俳優をアップにした画像を表示する。

 AI(人工知能)を駆使してユーザーにぴったりの作品を提示することで、「視聴の75%はオススメから」(松尾)という、快適な視聴体験を実現しているのである。

 これに加えて、会員を引き付ける武器となっているのは、ネットフリックスでしか視聴できない独自コンテンツだ。米ハリウッドの大物を囲い込み、今年だけでオリジナル作品の制作に75億~80億ドルを投じる計画で、作品数にして700本程度に上るという。

 財務諸表からもコンテンツ投資に懸ける姿勢は垣間見え、動画コンテンツ獲得に掛ける費用は、売上高に匹敵する年100億ドル規模に達している。結果として、フリーキャッシュフローは年20億ドル程度のマイナスで、黒字ながらも資金の流出は続いているのだ(3)。

 それを補うための手段は、借金である。バランスシート上で、2年前と比べてコンテンツ資産は1.8倍の184億ドルまで増加したが、長期借入金も3.5倍の83.4億ドルまで膨れ上がった(4)。

 ネットフリックスは今後約5年でコンテンツに支払う額として、既に186億ドルが確定している。

 海外で「金を燃やす」とやゆされるほど強気なコンテンツへの巨額投資は、有料会員の伸びが止まったときに、賄い切れなくなるリスクをはらんでいる。(敬称略)