銀行出身の新CEOの下で再建を目指す東芝が、幹部自身が「地味」と認める新中期経営計画を発表した。構造改革が踏み込み不足の上、成長分野に位置付けたIoTなどでも出遅れ感が否めず、収益力アップはおぼつかない。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
4月に三井住友銀行元副頭取の車谷暢昭氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に迎えた東芝が8日、新中計「東芝Nextプラン」を発表した。本誌が11月10日号「変われぬ東芝 変わる日立」特集で報じた通り、“地味”な内容で、事業構造を転換する最大のチャンスを逃したといえる。
車谷氏は当初、事業ポートフォリオの見直しを今後取り組む3本柱の一つに挙げ「全然違う会社に変えていくつもりでプランを作る」と意気込んでいた。
だが、ふたを開けてみれば22個あるビジネスユニット(BU)は全て存続することになった。撤退するのはBU内の一部製品のみ(赤字が続く半導体「システムLSI」の中でも、自動車向けを除く一部など)にとどまった。
しかし、東芝は抜本的な改革を避けて通れるほど余裕のある状況ではない。2018年度上期の営業利益率は0.4%と低迷(前年同期は1.9%)。5セグメントのうち二つが赤字で、今後の中核となる「インフラシステム」ですら営業利益率0.3%と超低空飛行だ。