ただし、自己資本が厚いというのは、裏を返せば、資本効率が低いことを意味する。そこで、17年4月に中田誠司社長が就任して以降、株主還元を積極的に行っている。今年4月には通期の配当性向を従来の40%程度から50%以上へ変更し、7月には400億円を上限とする自己株取得枠を設定した。

 それもあってかROE(自己資本利益率)は大和が8.8%と、7.9%の野村よりも資本の効率性は高くなっている(図4)。

 また、安定した収益構造、積極的な株主還元などにより、株価を1株当たり純資産で割ったPBR(株価純資産倍率)は野村の0.64倍に対し、大和は0.80倍(11月9日時点)。両社とも解散価値である1倍割れだが、大和は野村より25%増しという状況だ。

「無理に海外事業を拡大せず、自らの身の丈を分かった経営をしている」(中村信一郎・SMBC日興シニアアナリスト)とみる向きも少なくない。

 だが、国内のリテールに軸足を置いた今の事業モデルには課題もある。顧客基盤の高齢化だ。「個人の預かり資産の約7割が60歳以上」(小松CFO)のため、今後、相続の際に信託銀行などに奪われるなどして、顧客基盤が痩せ細っていく可能性が高い。

 昨年6月末には顧客口座数で大和はSBI証券に抜かれるなど、「個人金融資産の“貯蓄から投資へ”が進まない中、対面からネットへのチャネルシフトが進んでいる」(村木正雄・ドイツ証券調査本部長)と、パイは着実にネット証券に奪われつつある。顧客の流出を防ぐとともに、若年層を取り込むことによる顧客基盤の拡大が急務といえよう。

 潤沢な資本をどのような成長投資につなげていくのか。SMBC日興をはじめとする銀行系証券が銀証連携で追い上げる中、独立系としての成長ストーリーを描くことが大きな課題となっている。