◇新作と旧作の大きな違い

(1)「他社作品の新作連載」が(2)「他社作品の旧作連載」ともっとも異なるのは、新作連載の場合はコミックス化されるまで、そのアプリでしか読めないことだ。だからプラットフォーム運営者は、「他では読めない」ことを武器に、ユーザーの獲得が期待できる。また作家や版元などの制作側からすると、掲載するプラットフォームに合わせて作品を作るので、紙雑誌連載の場合とはターゲットとなる客層が変わることもあるだろう。

 さらに(3)「自社新作連載機能」とも共通するが、(1)の場合は紙雑誌連載時には得られない各種データ(アクセス数、読者の連載継続率など)を活用しつつ、スマホの小さい画面に最適化されたボーンデジタルのマンガを作ることになる。これも(2)との大きな違いだ。

◇自社新作連載機能とコミュニティ機能

(3)「自社新作連載機能」とは、アプリ事業者が自前で新作を作り、自社アプリに連載することである。小学館の「マンガワン」や集英社の「ジャンプ+」などが代表的なサービスだ。

 自社の編集部が制作する新作マンガを自社アプリに掲載するのと、他社アプリに掲載するのでは、なにが違うのだろうか。作家や編集者にとっては、あまり大きな違いはない。どんな媒体であれ、多くの読者に届け、より多くの利益をめざすことは変わらない。また制作上の制約についても、他社媒体のほうが自社媒体より制約が大きいとはかぎらない。

 だがアプリ事業者からすると大きな違いがある。どこがマンガの制作原価をもつかが変わってくるからだ。マンガは小説に比べると制作コストが大きく、オリジナルマンガを10本連載するだけで、年間億単位のカネがかかってしまう。

 とはいえ電子書店事業で「売る」だけなら費用は軽いが、利幅も小さい。一方でオリジナルマンガを自前で「作る」と費用は重いが、当たった時の利幅も大きくなる。まさに書店と出版社のビジネスモデルの違いである。

(4)「コミュニティ機能」は、アプリを通じて作家とファンが交流したり、作品のグッズ販売やクラウドファンディングをおこなったりするものだ。ファンコミュニティを育て(ロイヤリティの高い顧客を育て)、客単価の高い商売につなげるのが目的である。「ツイ4」や「マンガ図書館Z」がここに該当する。

 ほとんどのマンガアプリは、これら4つの機能の組み合わせで成立している。そして互いにビジネスモデルを模倣しあった結果、どのアプリも似たような機能を取り揃えるようになってきているのが現状だ。