100業種・5000件以上のクレームを解決し、NHK「クローズアップ現代+」「ニュースウオッチ9」、日本テレビ系「news every.」などでも引っ張りだこの株式会社エンゴシステム代表取締役の援川聡氏。近年増え続けるモンスタークレーマーの「終わりなき要求」を断ち切る技術を余すところなく公開した新刊『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』に需要が殺到、続々大重版が決まり、発売2ヵ月あまりで現在35000部と異例の売れ行きとなっている。
本記事では、現場で対応しきれないクレーマーに対峙したとき、警察や弁護士と連携する「最終手段」を、文例とともに特別掲載する。(構成:今野良介)
警察・弁護士の連携は「事前相談」が基本
先日の記事【「積極的放置」が究極のクレーム撃退策である】において、関連部門・機関と連携をとりながら、相手の動向を監視する「積極的放置」こそが、究極のクレーム対応であると述べました。本記事では、警察や弁護士などと連携して悪質なクレーマーを撃退するときの具体的なポイントをお伝えします。
警察との連携では、まず「110番通報」が思い浮かぶでしょう。しかし、これは本来、暴力事件や交通事故を目撃したり、ひったくりの被害に遭ったりするなど、事件や事故の現場に居合わせたときの緊急通報です。
クレームについて相談したいときは、警察相談専用電話「♯9110」が便利です。この番号にダイヤルすれば、クレームを含めた困りごとの相談に乗ってくれます。
このほかの相談窓口としては、各警察署の相談係があります。また、交番に連絡するという方法もあります。いざというときにあわてないよう、こうした相談先の電話番号を職場に掲示しておくか、携帯電話に登録しておくといいでしょう。
警察との連携で大切なのは、事前に相談するということです。警察からの具体的なアドバイスもありがたいのですが、それ以上に「警察に相談している」という事実をクレーマーに伝えることで、「これ以上つきまとえば、事件になるぞ」と、プレッシャーをかけることができるからです。
弁護士との連携も、警察と同様に事前相談を中心に考えます。「法的な手段も視野に入れている」ことを相手に伝え、プレッシャーをかけるのです。
言い換えれば、こうした抑止力の下支えによって「放置」が可能になるのです。
たとえば、こんな表現で最後通告をすればいいでしょう。
「今回のお申し入れについては、顧問弁護士とも協議し、警察にも相談いたしました。これ以上のお話ですと、しかるべき対応をとらざるをえないと考えております。ただ、それは本意ではございませんので、なにとぞご理解いただけないでしょうか」
なお、弁護士の協力を得るには、弁護士と顧問契約を結んだり、個別相談に出向いたりするのが一般的ですが、弁護士団体による無料相談や、日本司法支援センター(法テラス)などを利用することもできます。
「文書」による回答で完全撃退する
話し合いが堂々巡りになったり、クレーマーが「これで終わりにするつもりか?」などとくい下がってきたりしたら、「回答書」「通知書」「通告書」といった文書による意思表示が効果的です。
文面は事案に応じて変わりますが、意思表示である以上、丁寧な表現でありながらも、きっぱり言い切ることが大切です。
たとえば、文脈としてはこんな具合です。