「このたびはお客様に多大なご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。しかしながら、これ以上、社会通念を逸脱した要求をされるのであれば、甚だ遺憾ながら、これまでの記録をもとに法的手段をとる所存でございます。なお今後、貴殿からの申し出を口頭で受けることはできません」

こうした文書を配達証明郵便で送れば、確実です。また、通告書や一部の通知書で内容証明郵便を利用すると、心理的効果も大きくなります。

メールで回答(通知・通告)する場合も、文面が多少くだけた表現にはなるものの、基本は変わりません。

ただし、次のような一文を加えておくといいでしょう。

「後日、正式な回答文書として郵送させていただきたいと思います。つきましては、個人情報の取り扱いには十分配慮し、厳重に管理いたしますので、○○様のご住所をお知らせいただければ幸いです」

ネットモンスターの多くは、自分の正体を隠し、表舞台に引きずり出されることを嫌う傾向があります。実際に住所・氏名を明かすかどうかはわかりませんが、多かれ少なかれ、プレッシャーを感じるでしょう。

こうした文書を作成するにあたっては、その内容を吟味しなければなりませんが、その作業を通して、自分たちが覚悟を決めることになります。これも、「足場を固める」ことにつながります。  

相手と文書をかわすときには、もうひとつ覚えておいてほしいことがあります。それは、悪質なクレーマーに言葉尻をとられないように細心の注意を払うことです。

たとえば、示談で解決する場合は「示談書」をかわしますが、その際には領収証を兼ねた示談書を作成します。そのうえで、ただし書きに「和解金として」と明記します。「見舞金」といった曖昧な表現では、決着が先送りされ、2回目、3回目の見舞金を要求されかねないからです。

『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、最新のクレーム事例を40以上紹介しながら、対面・メール・電話あらゆる場面における正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法、高齢化に伴い増加している「シルバーモンスター」の実態と対策など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。

ぜひ、現場で使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。

(参考記事)

「半殺しだよ」→「怖いです」
「SNSで拡散するぞ」→「困りましたね」
究極のクレーム対応“K言葉”の活用術