非常に小さな確率は
実際より大きく感じる

 最近注目されている「行動経済学」という分野がある。心理学と経済学がコラボレーションしたものと考えていただければいい。そこでいわれているのは、「人は非常に小さな確率を実際より大きく感じるもの」ということだ。

 例えば、確率100万分の1で命を落とす危険な仕事があったとする。読者は報酬がいくらならその仕事を引き受けるだろうか。そして、確率が1万分の1に高まれば、100倍の報酬を求めるだろうか。

 質問を変えよう。あなたは、既に確率5%で命を落とす危険な仕事に従事しているとする。そんなあなたにさらに危険な仕事(確率5.01%で命を落とす)を依頼するとして、いくらの割り増し報酬が必要だろうか。

 多くの読者は、100万分の1と、1万分の1とで要求する報酬はそれほど変わらないだろうし、まして5%と5.01%では誤差の範囲だと感じるのではなかろうか。

 だとすれば、あなたは行動経済学的に「普通の人」だ。理論的には不合理な選択をしているのだが、人はそう感じないのだ。

 だからこそ、飛行機が落ちる確率を実際より高く感じて乗りたがらない人がいるわけだし、宝くじが当たる確率を実際より高く感じて宝くじを買う人がいるわけだ。

 このように、人間は錯覚しやすい「非合理的な生き物」だから宝くじを買うのだが、筆者が宝くじの購入を否定しているかといえば、そんなことはない。実は、宝くじを買うのは十分に合理的なのだ。そう考える理由を以下に示そう。