しっかりとした意味のある目的が明確に示され、その達成に自分の能力をきっちり発揮することができ、達成できたあかつきには成果が評価されることが約束されていれば、いろいろな能力を持つ人材が自然と集まってくるのであって、システムそのものの問題ではないということを日産が見せ付けた格好である。

 前述のように西川社長は、ゴーン氏と共に仕事をしてきた人物であり、ダイバーシティはじめ、ゴーン氏が残した正の遺産の重要性は十分認識しているであろうことは言をまたない。

 もっとも、経営者としては、比べる相手がゴーン氏となると、どうしても「軽量級」になってしまう。

 日産をよく知る事情通の1人は言う。

「日産は1950年代の川又克二社長時代からずっと上意下達という企業文化でやってきた会社。とくにバブル崩壊前までは、社内の派閥争いはあっても仕事のノルマはないに等しく、山一證券や東芝などと並んで『自分の子どもを入れたい会社』の代表格だった。ルノー傘下入りして体質が変わったと言われるが、気質というものはそうそう変わるものではない。ゴーン氏という重石が取れた後、それがどう出るか」

足の引っ張り合いが横行する
“先祖返り”は避けるべし

 日産、ルノー、三菱自の3社の会長を務め、さらに3社のアライアンスの最高経営責任者も務めるなど、ゴーン氏への「権力の過度の集中」が進んだことは、日産にとって決していい状況とは言えなかった。

 それを実質“クーデター”でつぶしたのは、日産が新たな未来を自分の意志で切り開く端緒にはなる。

 だが、大事なのは「ここから何をやるか」だ。

 そのためには足の引っ張り合いが社内に横行するような“先祖返り”だけはゆめゆめ招かないよう、過去を省みながら、また大目的を見失わないようにしながら未来を目指すべきだろう。