「お客さまに近いところにいなければならないのに、西門真の田舎では話にならない」──。就任直後、早々に東京へのCNS本社移転を決めた樋口専務。移転先では、誰がどこに座ってもいい完全フリーアドレス制を導入。役員には“優先席”が一応、割り当てられているが、部員が打ち合わせをしていると樋口専務が後ろから「何してんの」とのぞき込む風景がよく見られる。個室をあてがわれ、秘書を通じてアポを取らなければ会えなかった時代とは雲泥の差だ。

 さらに“ヨコパナ”が日本にも波及し始めた。東京・浜松町に17年にできたフューチャーライフファクトリー。全カンパニーからデザイナーが集まり、“30年に求められる商品”をテーマに、これまでになかった家電をアジャイル型で作る。メンバーにはβ卒業生もおり、米シリコンバレーで身に付けた開発手法を実践に移している。