1レースの勝敗よりタイムへ
MGCシリーズの効果

 MGCシリーズが設定される前の日本のマラソンは、記録よりも勝負が優先される傾向があった。実力に勝るアフリカの招待選手がスパートをかけても、つぶれることを恐れて自重。ライバルの日本選手に勝つことに切り替える選手が多かった。

 MGCシリーズはレースによって設定される基準タイムや日本人順位は微妙に異なるが、冬~春シーズンのレースの場合、基本的には

 男子が2時間11分以内、女子は2時間28分以内で日本人順位が1~3位。世界基準に照らし合わせれば若干甘目の設定に思えるが、それでも出場する選手はMGCへの出場権を得ようと果敢にタイムに挑戦するようになった。アフリカの選手が跳び出しても、食らいつくようになった。設楽悠が久々に更新した日本記録も、大迫が10月のシカゴで出した2時間5分台も、女子の安藤や松田が出した好タイムもそうしたチャレンジによって導き出されたものだ。

 上記のMGC出場選手の自己最高記録もMGCシリーズで記録されたものが多い。突破しなければならない基準タイムが設定されたことで選手の挑戦意欲がかき立てられ、レベルアップを促したといえるだろう。

 今週末に行われる福岡国際マラソンの国内招待選手10人にはMGC出場権を決めている5人が含まれている。設楽悠、川内、中本、園田、竹ノ内だ。出場権を得ているといっても、彼らが手を抜くことは決してないだろう。常に好タイムでマラソンを走り切る実力を備えていなければMGCを勝ち抜いて代表になることも世界と勝負することもできないからだ。他の5人の招待選手はもとより、招待はされなかったが自分の能力に自信を持ち、ひそかに五輪代表を目指す選手たちも、彼らを負かしてやろうと果敢にチャレンジするにちがいない。

 この図式はこの後に行われる男子の3レース、女子の3レースも同様だろう。そんなレースが来年3月まで続くわけで、マラソンファンにとってはワクワクし通しのシーズンになるはずだ。

(スポーツライター 相沢光一)