Photo by Yuji Nomura
元タレントによる性加害問題からの復活を目指すフジ・メディア・ホールディングス(FMH)。2月3日には、不動産事業の外部資本受け入れを検討すると発表するなど構造改革を加速させている。再建のカギとなるのがコンテンツ事業だ。かつてのヒットメーカーは放送のタイムテーブル起点の発想を捨て、「脱・テレビ局」で生存をはかろうとしている。長期連載『メディア興亡』の本稿では、コンテンツ企業への脱皮に向けて旗を振るFMHの清水賢治社長を直撃した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)
資産圧縮でROE向上を最優先
不動産事業の外部資本導入を決断
――2月3日に不動産事業において外部資本を取り入れるオフバランス(連結解除)を検討し、今後はコンテンツ事業に注力する方針を明らかにしました。判断に至った経緯と今後の戦略は。
昨年5月に公表した「改革アクションプラン」では、資本効率の改善を掲げています。自己資本利益率(ROE)の目標を示し、キャピタルアロケーション(資本配分)も初めて具体的な数字を出しました。大きな資産で利益を生む形ではなく、コンパクトな資産を回して利益を効率的に出していく。そういう企業への生まれ変わりを最優先していきます。
当初公表した数字から徐々にアップデートを重ねていき、昨年11月には「2030年度でROE5~6%、33年度に8%を目指す」という目標を出しました。ただ、多くの機関投資家からは「ちょっとゆっくり過ぎるんじゃないか」というお叱りを受け、市場の期待からするとやや遅いのだと受け止めました。
ROE向上のためには、まず自己資本を圧縮しなければいけません。資本配分の枠を広げるなど検討していく中で、ROE目標を早く達成するためには都市開発・観光事業の成長を共にやっていくことが、かなり難しい作業である現実が明らかになってきました。不動産事業は、資産を増やして利益を上げていく構造になっています。そのためには借入金を増やしていくことが第一で、同時に自己資本の圧縮を早期にやっていこうとするとかなり無理があります。
都市開発・観光事業の方の成長を一時的に抑制すると同時にメディア・コンテンツ事業への成長投資をバランスよく行うとなれば、片方の事業の成長を止めるような作業が必要になってしまう。そうすることが果たして最善なのか。時間をかけて検討した結果、目標を最優先にオフバランスを考えた方が早くROE目標を達成できるだろうと考え、外部資本導入を選ぶ方が合理的と判断しました。
――ここに至るまでの株主との話し合いの経緯は。
株主との対話はこの数カ月が全てではなく、長年やってきました。
実は私自身もフジ・メディア・ホールディングス(FMH)のIR担当として対話を長年重ねてきました。投資家の皆さまと向き合ってきた中で感じているのは、ここ数年で「資本効率を高めよ」という声が高まったことです。昔は「営業利益ベースの本業の利益でどこまでキャッシュを生み出す力があるのか」という絶対額に注目されたのですが、今は資本効率、ROE、PBR(株価純資産倍率)となってきました。
特定の株主だけではなく「これを言わない株主がどこにいる」というぐらいになってきています。効率的な経営の点で判断されることが上場企業にとって一番大きいと認識したため、ROE目標を初めて出しました。投資家の意識が変化したため、われわれも意識を変えていこうと判断した結果です。
――FMHの力を底上げしていく上で、今後の投資先の領域やターゲットをどう設定していますか。
かつて「Dr.スランプ アラレちゃん」や「ドラゴンボール」など大ヒットアニメを世に送り出した清水社長。希代のヒットメーカーの目から見ても、これまでのフジテレビは「放送」という枠に縛られてきたという。グループにポニーキャニオンやフジパシフィックミュージックなどのエンタメ領域の企業を持ちながら、なぜ連動できなかったのか。次ページでは、清水社長自身が分析するその「構造的な弱点」と、グローバル市場を見据えた反撃のシナリオを明かす。







