Photo by Yoshihisa Wada
2025年のM&Aリーグテーブルで23兆円超という史上最高額をたたき出し首位を奪還した野村證券。トヨタ自動車やNTTなどのメガディールを独占する背景には、歴代のバンカーが紡いできた「歴史的なタスキ」と、国内1000人体制による圧倒的なネットワーク力がある。外資系がグローバル網を武器に攻勢を強める中、国内最強の「M&A請負人」に死角はあるのか。長期連載『金融インサイド』内の特集『インベストメントバンカー M&A請負人の正体』の#2で、インベストメント・バンキング グローバル・ヘッドとして投資銀行部隊を率いる武村努副社長が、野村独自のグローバル戦略と人材育成の全貌を明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
「タスキ」が紡ぐ歴代の信頼関係
巨大案件で選ばれ続ける野村の矜持
――2025年のLSEG(英ロンドン証券取引所グループ)によるリーグテーブルにおいて、野村證券は公表ベースの関与金額が23兆円超で1位でした。他社を大きく引き離した「圧勝」という理解でよろしいでしょうか。
圧勝ではないと思いますけれども、一番だということはお客さまからの信頼の証しなので非常にうれしく思います。
――25年はトヨタ自動車やNTTなどのメガディールにことごとく関与しています。こうした大企業に選ばれる理由は何ですか。
一番の理由は、先輩から受け継いできた「タスキ」です。企業のお客さまと関係を築くのは一朝一夕にできることではありません。歴代の先輩方が、その時々のお客さまに対して真摯に提案し続けてきた積み重ねが、今の結果につながっているのです。
もちろん投資銀行として提供するサービスのクオリティーの高さは不可欠です。しかし、それ以上に「お客さまの歴史も今も知っている」という点、そして人間同士としての深い信頼関係を築き、その時代のお客さまにとって最適なアドバイスができる陣容を常にそろえていることが、結果をもたらしたのだと思います。
――トヨタの案件では「AA型種類株」の発行など、過去のディールでの信頼獲得が大きかったと聞きます。
お客さまや投資家の皆さまにお喜びいただけたのであれば、結果として信頼が増したという側面はあるかもしれません。ただ、常日頃から継続的にご提案し続けていることこそが、選ばれる本質的な理由ではないでしょうか。
――米モルガン・スタンレーや米ゴールドマン・サックスなど外資系証券はグローバルなネットワークを強みとしていますが、国内独立系である野村證券はグローバル展開の現状をどう捉えていますか。
国内では圧倒的首位の野村證券だが、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどバルジブラケット(グローバル投資銀行)とどう伍して戦うのか。そして、金融業界の「人材供給源」とやゆされるほどの流出をどう防ぐのか。「野村が嫌で辞める人は以前より減っている」。そう断言する武村氏が、次ページで次世代戦略の全貌を明らかにする。







