大きな原因は2つあるだろう。

 まず、ルノーは日産の窮地を救った筆頭株主だ。1999年にルノーは日産自動車の36.8%の株式を取得し、現在の保有比率は43.4%だ。過半数は保有していないものの、事実上の意思決定権はルノーが持っているといってよい。その中で親会社から派遣されたトップ=ゴーン容疑者の意向には従わざるを得ない。それが資本の論理だ。

 また、経営者として、ゴーン容疑者は優れた資質を持っている。リバイバルプラン以降の業績がそれを示している。従来の発想では、聖域なき構造改革を進めると同時にグローバルな視点で成長を目指すことは難しかったかもしれない。ゴーン容疑者は日産にとって、困難な目標を成し遂げた救世主といえる。

 また、ゴーン容疑者の指揮の下、日産は英語を公用語にした。中途採用人材も増えた。同社の企業文化は大きく変わったのである。その中で、日産再生の立役者であるゴーン容疑者の意見には従わざるを得ないという雰囲気が組織全体に広がったことは想像に難くない。

 その結果、ゴーン容疑者の権力欲と強欲さをいさめることは、かなり難しくなったと考えられる。2005年にゴーン容疑者は日産のCEOとルノーのCEOを兼務した。その上、ゴーン容疑者はアライアンスの運営を管理するルノー・日産BV(オランダ・アムステルダムが拠点)のトップにも就いた。同社のトップはルノーCEOが就くと内規に定められていると報じられている。また同社は非公開企業であるため、内部の経営状態などはわかりづらい。

 アライアンス体制の最高意思決定権者の地位を手に入れたことによって、ゴーン容疑者の権力基盤は一段と強固になった。それが、長年にわたって有価証券の虚偽記載が行われ、会社資金が不正に使用される原因となった可能性がある。