新規会員獲得と既存会員維持
どちらのコストが大きいか

――新規会員の獲得コストと既存会員の維持コストを比べた場合、どちらが大きくなる傾向がありますか。

 有料会員の維持の方が難しい取り組みです。会員維持については、ステージごとに見ていく必要があるでしょう。入会してから最初の3ヵ月は解約率が高く、その後解約は減っていき、有料サービスを利用するのが習慣化する時点で安定します。

Photo by Yoshihisa Wada

――サブスクリプションにおける顧客との関係性は、従来型ビジネスとどのような点で異なるのでしょうか。

 本質的な違いは、匿名の関係性にあります。顧客がお店に入って何かを買って退店した場合、そこには何の関係もありません。それは単なる取引であり、顧客が誰であるかを知りません。顧客が新聞スタンドから新聞を買っても誰か分からないのでそこに関係はありません。

 一方でサブスクリプションの特徴はIDを通じた匿名の関係性です。 IDから顧客の属性やエンゲージメントを追跡しています。今、この匿名の関係性からマネタイズをすることができるのです。

 例えば、ライドシェアサービスのUberはサブスクリプション企業と言えます。最近までは顧客の乗車ごとにマネタイズしていましたが、走行距離、車種、さらに割増し料金が課されたか、割引きを使ったかなど、乗車ごとでも顧客の特徴を知ることのできるファクターが多くあり、今やUberも同様のサービスを展開するLyftも、「月間プランを選択してください」と提案してきます。例えば、Lyftは299ドルを支払えば、条件付きで30日間乗り放題となるサービスを展開しています。

 メディア企業ならば、10ドルで最大100記事を読めるサービスを提供することができるように、サブスクリプションでは選択できる収益モデルが無数にあるのです。そして、そこで重要となるのが顧客との関係であり、時間をかけてその関係を構築することです。