終活ブームに惑わされてはいけない?
終活ブームに惑わされてはいけない?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本全国、終活セミナーが花盛りである。しかしながら、その実態は、成年後見制度や家族信託や葬儀の生前予約ありきで、さながら、認知症1000万人時代に乗じた「販売促進の場」と化している。世の中、意図的にブームメイクする輩(やから)に踊らされて、終活の大前提を置き去りにしているように思えてならない。(NPO二十四の瞳、百寿コンシェルジュ協会理事長、社会福祉士 山崎 宏)

銀行員に言われるままに
成年後見制度を利用したら…

 迂闊だった…。認知症の母を施設に入れて数ヵ月が経過。母の言動に疲弊していた妻の精神状態も安定し、家庭にも平穏が戻りつつあった。その日は母の見舞いがてら、当座の施設利用料相当を引き出しに銀行に立ち寄るつもりでいた。かねて母から預かっていたヴィトンのセカンドポーチから預金通帳とキャッシュカードを取り出し、母に示しながらその旨を伝える。

「でさ、暗証番号、教えてくれる?」

「なによ?」

「だから、◯◯銀行のキャッシュカードの暗証番号さ」

「ええ?暗証番号?アンタ、知ってるでしょうよ」

「知らないよ。だから聞いてんだよ」

「あら、そうなの?やぁねぇ…」

 それから数十分後、ATMの前で彼は舌を打つことに。イヤな予感は的中した。

「…ということなのですが…。50万円ほどおろしたいのですが」

 女性行員はいったん奥へ下がり、しばらくして管理職らしい男性行員とともに戻ってきた。