「終活」や「断捨離」がブームになって久しい。若い層にはピンとこないかもしれないが、いずれもブームというよりは定着していて、終活セミナーや断捨離セミナーも盛況である。書籍も数多く、終活をテーマにした雑誌もあるほどだ。
終活は2009年頃に生まれた言葉で、人生を終える前にしておくべき様々な活動をさす。自身の人生を振り返る手記を残す、葬儀や墓の準備に積極的に関わる、財産相続が円滑に進むように準備しておく、身辺を整理するなどの活動が考えられる。「死ぬ前にしておきたい10のこと」などをリストアップするのも終活の一種だろう。
一方、断捨離は執着を捨て不要なモノを手放すことで、身の周りをきれいにするとともに心身ともにストレスから開放され、生き方も変わる、という処世術の一種。やましたひでこ氏の唱えた言葉で登録商標もされている。昨今の片付けブーム、捨てるブーム、あるいは後述の生前整理とも無縁ではない。
モノを手に入れるのは簡単だが、手放すのは案外難しい。「面倒」「もったいない」「愛着がある」といった心理的抵抗もあれば、「ゴミの分別がややこしい」「ゴミの収集日が減った」「ゴミ捨てにもカネがかかる」などの具体的な障壁もある。家庭内のモノは増える方向に傾きがちだ。
ワイドショーなどで定期的に取り上げられる「ゴミ屋敷」とその住人も、モノを集めて捨てられない生活の極端な例と考えれば、ひとつ歯車が狂えば自分もそうなるかも?と不安になる人もいるはず。
ちょっとモノが多い程度の生活なら、「捨てる技術」系の本を1冊読み、「手放すモノ」「保留」「必要なモノ」などと分類していけば、なんとかなる。ゴミ捨ての手間がかかる程度のことである。ではモノが多くてどこから手をつけていいかわからない、想定されるゴミの量が多すぎて手に負えない予感がする、といった場合はどうすればいいのだろうか。
業者に依頼するというのもひとつの手だ。不用品回収業者や引越し業者が、部屋の片付け、遺品整理、あるいははっきりと「ゴミ屋敷」対応を謳ってる場合も多い。手順や料金(追加料金の発生有無など)を確認したうえで、「家具や家電など大きなモノ」「不要だと断言できるモノ」だけでも引き取ってもらえば、今後の仕分け作業に使えるスペースも確保できるし、弾みもつくだろう。