それもそのはず、業界内では少子高齢化に加えハイブリッド車や電気自動車の普及による需要減少で、ガソリンスタンドの減少が続くことに対して漠とした不安を抱いていたが、これまで定量的な数値は存在しなかったからだ。

 小嶌教授の試算の概要はこうだ。

 30年には、国内の登録自動車は約93%がハイブリッド車などの環境対応車となり、現在約0.1%にとどまる電気自動車は約7%まで普及。その結果、ガソリンなどの燃料消費量は最小でも約24%、最大で約42%減少する。これが、「30年半減」の根拠だ。

 では、どのようなスタンドが消滅の憂き目に遭うのか。それを解説する前に、簡単に石油業界とスタンドの分類を整理しておこう。

 石油業界は大きく三つの階層から成る。頂点に立つのは石油を精製する“メーカー”である元売り。JXTGホールディングス(HD)が最大手だ。その下にいるのが大手特約店や石油専門商社で、いわゆる中間流通業者だ。

 スタンドはその下の最下層に位置している。約70%が1店舗のみを経営する零細企業だ。元売り各社と「エネオス」や「出光」などのブランド使用契約と、ガソリンなどの卸供給契約を結んでいる。