最も有力なプレーヤーはすでに一部店舗でガソリン販売を始めているコンビニだ。同業界はこれまで40年以上、顧客に利便性を提供することを第一に考え、業態と商品を目まぐるしく開発してきた。そんな勝ち組業態に、自動車という限定されたカテゴリーのみで生き永らえてきたスタンド業界が対峙することになる。早くもスタンド業界からは、歯が立たないとの弱音が聞こえてくる。
交通・都市計画とモビリティの進化を専門にする名古屋大学大学院の森川高行教授は、「地域の便利ステーションへと生まれ変わった施設が生き残る。その際、燃料供給はサービスの一つにすぎない」と話す。既存のスタンド業態の延長線上では延命は難しい。
勃発しようとしている戦いは、「地域の社会インフラ」というポジションを異業種と取り合う椅子取りゲームである。その現実に立ち向かう視野と戦略がなければ、元売り業界とスタンド業界の賞味期限は迫るばかりだ。