成功できる人は
「目先の得」に振り回されない

 とはいえ、相手が何を求めているか察する能力は、すぐに鍛えられるようなものでもない。そんなときは「相手に媚びてみる」ことがポイントだそう。

「少しずうずうしいぐらい、自分から話しかけることが大事ですね。話さなければ相手がどんな人かも、何を求めているかもわかりません。例えばミナミの元ナンバーワンキャバ嬢、門りょうちゃんは、私がお店に入った時からすでにみんなの憧れで、恐れられるような存在でした。最初は私があんまりなれなれしく話しかけるから『なんやコイツ』って思っただろうけど、それでも諦めないでついていったから、今はすごくかわいがってくれています」

「媚びを売る」という言葉は悪いように使われがちだが、実際、同性でも異性でも懐かれて嫌な気持ちになる人は少ない。相手が引くぐらいの積極性をもって踏み込み、求めているものや空気感を探ることが『好かれるコツ』なのかもしれない。

 また、「目先の得に振り回されない」ことも大切だという。

「私は長い目で見た収益を考えるタイプ。お客さんにも無理はさせないし、そのぶん長く通ってもらいたい。他の店のママさんにお客さんを紹介するときも、1回でドカンと使う人じゃなく、長くじっくり通ってくれる人をチョイスします。その方がママさんもうれしいと思うから」

 利益を独り占めしないことを信条にするノアさん。厳しい勝負の世界に身を置きながらも、あくまでキャバ嬢はお店のメンバーの1人であり、わがままを押し通すのではなく、“フォア・ザ・チーム”(チームのために)の精神を持つことが、成功には必要だと気づいたという。

「自分だけ良ければ…だと、最初はナンバーワンになれてもすぐに周りに蹴落とされます。この間、私についたヘルプの子が、新人で。せっかくだから新人の子の顔と名前を覚えてもらいたくて、あだ名つけたり、私がお酒つぐ役に回ったりしました。お金も喜びも、仲間たちと共有しあうことが大切」

 自分が他の子をサポートすることで、お店の雰囲気も良くなり、働きやすくなって、そのぶん売り上げも上がる。そして周囲も自分をサポートしてくれる。ノアさんは「損して得とれ」の精神で不動のナンバーワンを勝ち取ったのだ。

 ビジネスマンであれば目先の得に目がくらむこともあるはず。しかし、長い目で見ればどちらが自分にとってプラスになるかを考えて行動できる人こそ、成功できるという。相手と長い関係を構築できるような気遣い、そして組織の一員としてチームのために動くという心構え。この2つが、結果的に回り回って自身を助けてくれるわけだ。