不気味な沈黙の裏で
将来見据え動くエリオット

 声高に統合反対を叫び続けているオアシスに対し、エリオットは不気味な沈黙を保っている。だが、これまでのエリオットの行動を見てみると、決して珍しいことではない。

 17年4月、エリオットは不動産運用大手ケネディクスの株式を取得したとして大量保有報告(発行済株式の5.47%)を提出したものの、その後、特に何の株主提案もしないまま4ヵ月後に一部を売却した。また、9月には広告業大手アサツー・ディー・ケイ(ADK) のTOBに参戦していたが、ここでも沈黙を保ち、最終的には一声も発することなくTOBに応募した。

 そして、エリオットが9%弱を取得していた日立国際電気のTOBでも沈黙を貫く。

 これは、日立グループの子会社整理に伴って、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)へ売却するためのものだったのだが、KKRが提示した当初のTOB価格が当時の株価を大きく下回る2503円だったため、少数株主の利益を害する可能性があるとしていったんは中断される。

 しかし、日立国際電気自身が業績見通しを上方修正したことなどから日立国際電気の株価が上昇、親会社の日立が非中核子会社の整理を急いでいたことなどもあり2度にわたってTOB価格が引き上げられた。

 この間、エリオットは沈黙を貫いた。だが、その狙いは、保有株式を1円でも高く買い取ってもらうことではなかったのだ。

 というのも、17年12月に日立国際電気のTOBが成立したのを受けて、日立は18年10月、エリオットからアンサルドSTS株の買い取ることで合意している。つまりエリオットは、日立の子会社売却に協力するバーターとして、アンサルドSTS問題も一気に解決させたというわけだ。

 ある国内運用機関の幹部は、2つの異なるディールを組み合わせた鮮やかな戦略を見て、「グローバルに運用しているファンドともなると、点と点をつないで線にすることを考えるものなのだと思い知らされた」と語る。