――そのような未来にならないために、どのような対策が急務でしょうか?

 冒頭でお話しした「プロダクトマネジャー」のような役割の人が組織に必要だと思います。できれば技術を理解して、開発経験のある人が就いた方がいいですが、それが本質ではなく、プロダクトやサービスの価値を追求できる人が必要です。製品の価値を本当に高めるためには、外部へ丸投げではなく、どういったものがユーザーに愛され、使い続けてもらえるかこだわり抜く思想が求められます。

 高度経済成長期の日本企業は非常に優れていましたが、安価な人件費を背景に世界の労働を担う下請けが中心で、その後も自分たちのアイデアよりも欧米の製品を彼らよりも高い品質で安いコストで作るのが中心でした。

 その中でも、日本の国力を高めた優れた経営者の代表が、自ら生み出した製品をグローバルに展開した松下幸之助さん、本田宗一郎さん、盛田昭夫さんや井深大さんです。こうした優れた経営者のやり方に学べることはたくさんあります。

 プロダクトマネジャーにはスキルも必要ですが、それ以上にオーナーシップを持って、絶対成功させると思うこと、何度失敗しても最後は成功させると挑戦する気持ちが大切です。とはいえ個人の努力では限界があるため、経営者にこそ意識改革してもらう必要があるのではないでしょうか。

 また、エンジニアを正しく評価し、育成することが出来るように組織変革も進める必要があります。エンジニアが自由闊達に創造性を発揮することが出来るような企業内文化を醸成し、また、彼らの組織内の、ひいては社会での地位向上を図る必要があります。米国ではソフトウェアエンジニアは高給取りの職種です。それは彼らの生み出す価値が高いからです。待遇が良いポジションに優秀な人は集まります。技術が事業を生み出す時代に、ソフトウェアエンジニアを冷遇してはなりません。こちらにも経営者の意識改革が必要です。