新しい価値を創造しないと
ブルー・オーシャンは続かない
――先ほどお話に出た「レッド・オーシャンの罠」ですが、一度ブルー・オーシャンを築いて注目された企業の中にも、必ずしも成功が持続しなかったところがあると思います。こうしたケースについてどのように分析されているでしょうか。
先に触れた任天堂がまさによい例ですね。一度レッド・オーシャンに陥った後、「Nintendo Switch」で復活する前に、同社もプロジェクトに参加した「ポケモンGO」がヒットしました。しかし、以前ブルー・オーシャンを築いた「Wii」はビデオコンソールで、「ポケモン」はモバイル端末用のゲームアプリだったので、お互い相容れないものという認識でした。
このケースに見るように、モバイル端末のゲームは操作しやすいけれど大きな画面で見ることができず、大きな画面で見るゲームは迫力があるけれども自由に持ち運ぶことができないという課題がゲーム業界にはあった。それを、両方のパターンで遊ぶことを可能にし、ユーザーに受け入れられたのが「Switch」だったのです。
過去150年ほどのビジネスの歴史を見ると、ダーウィンの進化論と同じで、何か良い商品が出てくると注目が集まり、必ず真似をする人が出てきます。そうなると、ある時点で供給が需要を上回り、マージンが縮小して行き、中には倒産する企業も出てくる。先に述べたように、そうしたサイクルに陥らないためにもブルー・オーシャンをつくっていくことが必要になるわけで、そうしたサイクルがずっと繰り返されてきました。