近年、日本のテレビ番組や雑誌では、“女が女をけなす”という趣旨の企画をよく目にする。しかし、不思議とこれの男性版を見かけることは少ない。なぜ「女の敵は女」企画だけがウケるのか。その理由についてカウンセリングサービス所属の心理カウンセラー・沼田みえ子氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
女同士の醜い争いは
高視聴率を連発
セクシュアルハラスメントを告発する「#MeToo」運動、東京医科大による女子差別入試問題をはじめ、女性に対するセンシティブな問題が世間をにぎわせている。
そんな時流とは逆行するかたちで、大手メディアでは、女性をいわば“見せ物”として扱うショーが繰り広げられている。その企画趣旨は、女性同士のマウンティングやけなし合い、ネガティブなランキング付けを視聴者・読者が楽しむというシンプルなものだ。
例えば、2018年9月に行われた「週刊文春」恒例の「女が嫌いな女ランキング」(13回目)では、読者から2000超の回答が集まった。その際、SMAP分裂騒動のキーマンである木村拓哉の妻・工藤静香が堂々のトップを飾り、2位は松居一代、3位は嵐・二宮との色恋沙汰が報道された元フリーアナウンサー伊藤綾子が名を連ねた。例年の傾向としては、不倫や暴言で「悪目立ち」した女性が多い印象だ。
テレビでも同様の企画は後を絶たない。女性芸能人たちが、「SNSでリア充アピールする女」「美人のくせに『自称おっさん』の女」など、嫌いなタイプの同性にケチを付ける「女が女に怒る夜」(日本テレビ系)。ゲストはイケメン俳優が多く、「こんなののしり合いを経験するのは初めてです」と、珍しいモノを見たような反応をするのがだいたいのパターンだ。
あるいは、女性タレント10人が、お題に対して自分や出演者の順位を予想し、お互いの欠点や気に入らないところを言い合う「格付けしあう女たち」(テレビ朝日系「金曜★ロンドンハーツ」のコーナー)。99年の放送開始以来、現在まで100回近く行われ、18.3%という高視聴率を記録したこともある名物企画だ。