国交正常化して40周年になる中日両国の経済関係は、どんどん緊密になっている。40周年にあたって、政治面での齟齬、民間での相互嫌悪を少しでも改善させようという動きがあった。しかし、年の半ばまで来た現在、むしろ対立は鋭くなりつつあり、関係改善の目途が徐々に遠のいている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)
予想より遥かに中国政府を
刺激した世界ウイグル会議
数ヵ月前から、5月14日に日本でアジア初の「世界ウイグル会議」が開かれることについて中国でも噂されていたが、小規模な会議であまり影響力もないだろうと思われていた。
5月13日の中日韓首脳会談の前に、筆者は、中国外交部のある高官と別件で会う約束をした。予定より30分も遅れてきた同氏は、怒った表情で会議室に入ってきた。「領土問題なら日本の外交官と喧嘩しても本気で怒らないが、世界ウイグル会議は日本で開催し、ビザを発行するのが日本政府で、それを支持していることはあまりにも明らかだ」と、怒りが収まらない。
彼はとても疲れていた。もう日本にはどんな話をもちかけても、こちらの気持ちがわかってもらえない。そして彼もまた、日本の気持ちが理解できなくなっている様子だった。
日本政府としては、民間が組織した会議であり、日本に社会動乱でも引き起こさない限り、外国人の入国を断る理由はない、と思っているようだ。
一方、中国政府から見れば、日本で会議を開くウイグル族の人たちは、2009年7月5日に発生し、200人の死亡者を出したテロ事件をはじめ、その後も多発した民族紛争や、中国を分裂させる活動などに関わっており、とても「外国の民間組織が、日本で国際会議を開くだけ」では片付けられない。
「アルカイダが日本で国際会議を開くと言って、日本政府は関係者にビザを発行するか」と、中国の外交官は語気を強めた。