米中協議の難航が確実なことを市場は警戒し、織り込み始めたのだ。そこに折からの米国を中心とした主要国の景気後退懸念が加わり、株安の連鎖、円高への反転となった。

合意なければ関税25%

 2月末の期限までに協議が合意に至らなければ、2000億ドル分の輸入品に対する関税は、25%に引き上げられる。トランプ米大統領も自らを“タリフ(関税)マン”と称し、合意なき場合の関税引き上げに言及している。

 実際、市場が想定しているように米中は仮初めの妥協をしたものの、協議が合意に至る可能性は低い。技術移転の強要やサイバー攻撃を中国はそもそも認めていない。「技術移転の強要、知的財産権の保護強化については、共和党だけでなく野党である民主党も強硬で意見の相違はない」(窪谷浩・ニッセイ基礎研究所主任研究員)だけに、中国が小手先の対策を出してきても米国側が納得しないだろう。

 中国の習近平国家主席は対米政策で苦心しているようだ。重要政策の方針を決定する場である四中全会(中国共産党中央委員会第4回全体会議)が予定の10月を過ぎても開催されていないのも、そのためとみる声は少なくない。

 苦心しているとはいえ、中国側から、協議の全ての項目について米国と合意できる抜本的な対策が提示される公算は小さい。抜本的な対策となれば、米国からの要求に屈する形になる。それを強いリーダーを自任してきた習主席は受け入れられないだろう。

 再び米中貿易戦争が激化すれば、世界経済の減速傾向に拍車を掛けることは間違いない。金融・資本市場には暗雲が垂れ込めることになる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)