楽天は2010年10月に開始したばかりの中国向けサイト「楽酷天」を、この5月末に終了すると発表しました。中国市場での物販の難しさが露呈しただけではなく、これまでは成長一辺倒のストーリーだった中国市場の成長鈍化により、ネットビジネスですら競争激化が急速に進んでいることを示しています。

 もちろんそれはまた、新たなビジネスが生まれていくチャンスにもなりうるものです。Alibabaの上場廃止が、その後のビジネスや企業グループの形成にどのように影響していくのか、興味を持って追っていくことにしましょう。

 拙著『英語の決算書を読むスキル』では、世界Eコマース最大手のAmazon.comを取り上げ、本書の総まとめのケース企業として、9つのステップで考察しています。Amazon.comは自ら在庫リスクを負う事業モデルなので、米国と中国のそれぞれEコマースのトップランナーであっても、Alibabaとはまったく異なる決算書(PLの売上は巨額で利益率は低い薄利多売型、BSには相応の棚卸資産)が見られるはずです。とくに、2011年は大幅増収にもかかわらず大幅減益となった事実を、Amazonの歴史や、企業ゴールをとらえながら分析しています。どうぞご覧ください。

 全5回にわたり、海外企業の直近決算書を見てきましたが、いかがでしたか。ページ数の都合上、決算書そのものを貼りつけたり、数値をグラフに描いたりすることはしていませんが、「○○○ investor relations」と検索すれば、すぐにも決算書を手にすることは可能です。この機会に、まずはご自身がもっとも興味のある海外企業の名前を、上記の○○○に入れて、海外決算書の世界に飛んで行ってみてください。そこには、いつもとは違う景色が広がっているはずです。そして必ずや皆さんの会社やキャリア、生活にとって、有益な情報に満ち溢れていることでしょう。

 


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日本人にも馴染みのあるグローバル企業のケーススタディをもとに、英語の決算書の基本的な読み方から、効果的に読みこなすための実践スキル、会計基準の違いまでを講義形式でわかりやすく解説。ケーススタディ企業は、H&M、アルセロールミタル、ブロックバスター、アップル、ウォルトディズニー、アマゾンの6社。

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