点滴写真はイメージです Photo:PIXTA

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第25回は2012年製作の日本映画『終の信託』に加えて、『世界一キライなあなたに』『母の身終い』など海外の映画も交えつつ、安楽死や尊厳死という論争的なテーマを取り上げます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

安楽死と尊厳死を巡る
3つの定義

 日本に限らず、どこの先進国も軒並み高齢化に直面しています。そして、「死をどう支えるか」という点について、各国で模索が続いています。

 例えば、イギリスは2008年に終末期の医療・福祉に関する国家戦略を定めたほか、韓国も延命治療を中止できる範囲などを定めた尊厳死法を制定。極端な事例として、オランダやベルギーは安楽死を可能とする法律を作りました。

 しかし、こうしたテーマは非常に論争を呼びやすいですし、議論を避ける傾向も見られます。ここでは、2012年製作の日本映画『終の信託』に加えて、『世界一キライなあなたに』『母の身終い』など海外の映画も交えつつ、論争的なテーマを取り上げたいと思います。