米国の共和党内部には、ファーウェイの米国ビジネスそのものを禁止すべきとの主張まである…米国の共和党内部には、ファーウェイの米国ビジネスそのものを禁止すべきとの主張まである… Photo:REUERTS/AFLO

米国と中国の
IT覇権をめぐる争いが激化

“攻める中国”vs“守る米国”――。

 12月に入って、米国と中国のIT覇権をめぐる争いが一段と熱を帯びてきた。この問題は、一朝一夕に片づくものではない。米国では一部の政治家だけでなく世論も、安全保障を理由に中国に対する強硬姿勢を強めている。先行きは楽観できない。

 両国にとって、IT先端技術の競争力を高めることは、世界の政治・経済・安全保障にかかわる重要な問題だ。米国は自国の優位性を守りたい。一方、中国は米国をはじめ世界各国で、自国のIT関連製品やサービスのシェアを高め攻勢をかけたい。そもそも両者の利害が鋭く対立する中で、米国と中国が簡単に歩み寄れるはずがない。

 中国最大のスマートフォンメーカーであるファーウェイの副会長兼CFOが、カナダ当局に逮捕された。この件を受けて、先進国を中心にファーウェイの製品を排除する動きも目立ち始めた。米国の対中強硬姿勢が強まるに従い、中国もハードラインを取らざるを得なくなる恐れは高まっている。

 今後の両者の貿易交渉は難航するだろう。

覇権にこだわり
“守り”を固める米国

 安全保障とは、国を守ることである。米国は安全保障を理由にして、中国への強硬姿勢を一段と強めている。当面、米国の対中強硬姿勢は、高まることはあっても、軟化することは考え難い。

 その背景には、中国の脅威から米国を守る危機感の高まりがある。