日本にとっても依存関係に
共存共栄のバランスが重要

 ただ、ファーウェイを抑え込んで、その成長を止めればいいということでもない。ファーウェイのビジネスは、日本の産業にとっても大きな影響が予想される。

 携帯端末メーカーとしてのファーウェイは、日本の電子デバイスの大口優良顧客でもある。ファーウエイの端末は中国製であるが、その中に使われているイメージセンサーやバッテリー、液晶パネルなどの主要部品の多くは、日本メーカーが供給している。これはファーウエイと並んで規制対象とされるZTEについても同じ状況である。

 現代のエレクトロニクス産業は高度に分業が進み、国を超えた相互依存関係が成り立っている。中国が弱くなれば日本が有利になるという単純な話ではなく、うまく共存共栄のバランスをとらなければ、日本メーカーにとっても打撃となる。

 また、通信インフラについても、最大手メーカーの交換機を導入できないということになれば、当然、携帯電話キャリアにとって設備投資のコストは増加することになる。現在の4Gの設備を強化しながら、5Gの設備導入も行う。同時に携帯電話料金の値下げを進めていくとなれば、携帯電話キャリアの負担が大きくなる。

 通信インフラは日本の経済、産業を支える基盤でもあり、そのインフラのコストが高くなるということは、日本の産業全体の競争力を弱めかねない。とはいえ、国の安全保障や個人の権利の保障を犠牲にしてまで設備投資のコストを抑えるというのは、リスクが高すぎるだろう。

 結局のところ、中国の自由主義経済と民主主義の確立を促すよう圧力を強めることが、日本経済にとって得策なのかもしれない。

(早稲田大学大学院経営管理研究科教授 長内 厚)