要は、野党の主張は、「搾取される外国人技能実習生や弱い立場の漁師を守れ」といった、非常にステレオタイプで視野の狭い弱者保護の議論と、それに基づく政権批判ばかりで、弱者のみならず全体を踏まえた具体的な対案の提示はありませんでした。

 私が政権にいた頃、郵政民営化のときの国会論戦を思い起こすと、野党はあれから12年以上も経っているのに何も進化していなかいどころか、さらに劣化しているように感じました。

外国人労働者に水道法改正
メディア報道の視野の狭さ

 もちろん、野党だけではありません。メディアの報道もだいぶ視野が狭くなっているように思えます。

 たとえば、外国人単純労働者受け入れを巡る報道を見ていると、その多くは野党と同じように外国人技能実習生の悲惨な実態ばかりでした。もちろん、そうした可哀想な外国人が多いのは否定しませんが、どの程度の数の外国人を受け入れるのが日本にとって適切かといった論点について、視聴者や読者に考えるきっかけを与えるような報道は、非常に少なかったように思えます。

 また、水道法改正を巡る報道はさらに酷かったと言わざるを得ません。水道法の改正は、地元自治体が全面的に担ってきた水道インフラの所有と運営を分離して、民間企業が水道事業を運営できるようにするものですが、多くのメディアがそれに関して報道したのは、岩手県雫石町で民間事業者が提供してきた水道供給が途絶したリスクについてです。

 しかし、この岩手県の例は、もともと地元自治体の水道供給エリアから外れた山間部の話です。そこに建てられたペンション・別荘エリアに水道サービスを提供していた民間企業の撤退という問題です。もちろん、当該エリアの住民の皆さんは本当にお気の毒ですが、今回の水道法改正とは無関係の話です。

 それを水道法改正のタイミングでたくさん報道したら、インフラの民間開放が本当に必要であり有益なのかを市民の側が客観的に考えるのが、難しくなってしまうのではないでしょうか。