以上の例からも明らかなように、どうもメディアの報道も郵政民営化の頃以上に弱者保護の観点ばかりが強調されている気がします。そこに、ネットとの競争ゆえにセンセーショナルさやわかりやすい構図ばかりが優先的に反映される結果として、報道内容がすごく視野の狭いものとなってしまっているように感じられます。

 もちろん、それらの観点もすごく大事です。しかし、そもそもメディアの役割は、国民が世の中の問題について客観的に考えるきっかけや判断材料を提供することだと考えると、それだけに終始してしまうのはいかがなものでしょうか。

南青山の児童相談所設置を巡る疑問
一般人の「言い分」は適切か

 そして、南青山の児童相談所を巡る騒ぎを見ていると、野党やメディアのみならず、もしかしたら一般人の視野も狭くなってきているのかもしれないと感じざるを得ません。

 報道によれば、港区の説明会に参加した住民の一部は、同じ南青山に住んでいる(と言っても賃貸マンションですが)私から見ても、違和感を覚えるような発言をしています。

 たとえば、児童相談所が青山に設置されたら「青山のブランド価値が毀損される」「青山の土地の価値が下がる」という発言があったようですが、児童相談所が置かれたことでそのエリアの土地の価値が下がったという相関関係は、証明されていません。

 また、「ランチが1600円もしてネギを買うのも紀伊国屋という地域では、児童相談所に来る子どもが可哀想」といった趣旨の発言もあったようですが、私の妻は自転車で青山や周辺エリアの庶民向けの安いスーパーを活用しているし、ランチだって1000円以下で食べられるところはたくさんあります。

 ちなみに、私は多くの識者のように、これらの発言の中身が非常識だと非難する気はありません。残念ながら、児童相談所の新設が地域で歓迎されないというのは、日本のみならず世界のどこでも起き得ることだからです。これらの発言をした人たちも「総論賛成、各論反対」、つまり施設の必要性はわかるけど自分の住む地域に置くのは勘弁してほしい、という感じなのでしょう。