新井記者 18年10月に、日本の時価総額1位のトヨタと、2位のソフトバンクグループが次世代モビリティー分野で電撃提携したことは大きな話題になりましたね。

 豊田章男・トヨタ社長と孫正義・ソフトバンク会長兼社長が会見会場で並ぶ姿は、なかなか壮観なツーショットだなと心が躍りながらも、同時に違和感も覚えました。愚直にものづくりをやってきたトヨタと、今やテック財閥と化したソフトバンクとでは、企業文化が異質過ぎますから……。

浅島D なるほど。この提携について、ライバルの自動車メーカー社員は、「トヨタがソフトバンクの軍門に下るなんて、自動車産業の敗北だ」って言っていたよ。

 それが意味するのは、電動化技術やコネクテッド技術など自動車メーカーの開発領域が一気に広がり、自動車メーカー単独ではM&A(企業の合併・買収)の投資競争でソフトバンクの後手に回っていたということ。さしものトヨタですら、孫社長の目利き力やネットワークを頼ったことにショックを受けたんだろうね。

新井記者 化学や鉄鋼など素材メーカーの取材を熱心にしてきたのですが、最近、素材メーカーの自動車依存が気になっています。軽量化に効く炭素繊維がトヨタの高級車を中心に採用が増えていますが、繊維の3~4割、アルミの3割など最終製品を自動車に依存している素材は多いのです。自動車メーカーが「100年に1度の危機」と言っていますが、自動車に依存する素材メーカーは一体どうなってしまうのでしょう。

浅島D その通りだね。日本の産業が製造業に依存するいびつな構造になっていて、さらに国内製造業の事業領域が自動車に一極集中している。日本の時価総額ランキングでも、製造業依存の状況がくっきりと表れている。

 国内メーカーが重い人件費を背負う製造部門を抱えながら、米中のハイテク企業と先端分野で開発競争を続けなければならず、苦戦を強いられている。

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